お知らせ
築地の今と昔をつなぐ「💡知ろう語ろう築地の歴史プロジェクト」
築地という街には、長い歴史と豊かな文化、そして多くの人々の暮らしがあります。
私たちは、築地の「今」と「昔」を知り、人と人が語り合うことで、この街に息づく歴史や文化を未来へつないでいきたいと考えています。
そんな想いから生まれたのが、『知ろう語ろう築地の歴史プロジェクト』 です。
本プロジェクトでは、歴史的に築地のゆかりのある場所を全7回で紹介します。
2回目:»こちら「築地ゆかりの浅野家上屋敷跡から見える時代の移ろい」
3回目:»こちら「地ゆかりの芥川龍之介― 両国で交差する歴史」
4回目:»こちら「文学に刻まれた異国の窓口 ― 谷崎潤一郎と築地」
文学に描かれた佃島―渡し船から現代へ
三吉橋から銀座柳通りを隅田川に向かって進むと戦後初めて隅田川に架けられた佃大橋があります。
2016年までは東京マラソンのコースになっていたので、ランナーたちが走って渡っているのを覚えていらっしゃる方もいることでしょう。
1964年にこの橋が完成する前は、江戸時代からおよそ320年に亘り、この場所に、築地と佃島を結ぶ渡船が航行していました。
橋のほとりには、そのことを示す「佃島渡船」の由来を記した碑が、築地明石町と佃島の二か所に建てられています。
1992年の第108回直木賞受賞作、出久根達郎の『佃島ふたり書房』は、佃島渡船の描写から始まる作品です。
築地から渡船に乗って渡った佃島には、以前は漁師が多く住んでいました。
その始まりは摂津佃村(現・大阪市西淀川区)から江戸に来た漁師たちで、彼らが郷里を偲んで命名したのが「佃島」の由来だとも言われています。
暑い季節に遠くの沖に出向く佃の漁師たちのために、お弁当のおかずが傷まないように工夫を凝らして、小魚を丹念に煮込んで作ったものが「佃煮」の始まりだとも言われています。
現在では生産地に関わりなく佃煮と呼んでいますが、佃島には今でも、本家や元祖を名乗る佃煮屋が店を並べています。
佃島の掘割を越えると、火附盗賊改方長谷川平蔵宣以が尽力した「人足寄場」で有名な石川島です。
平蔵の罪状取り調べが鬼より怖いという評判が立ち、彼は「鬼平」と称されました。
平蔵は、池波正太郎の『鬼平犯科帳』によって現代に蘇りました。
彼の施策の狙いは再犯防止にあり、それは明治政府に受け継がれ、徒場、懲役場と改称しつつ、1895年に巣鴨へ移動するまで、石川島監獄署が置かれました。
同じ頃に石川島造船所が設立され、その後、事業の拡大を経て、この辺りは石川島播磨重工業株式会社(現・株式会社IHI)の敷地となりました。
現在では、工場時代の廃材を利用した建造物がその名残を表しているものの、1980年代から始まった旧石川島造船所跡地の再開発で、その敷地は大川端リバーシティ21となり、高層住宅の建ち並ぶ街並みが広がっています。
【参考】
出久根達郎『佃島ふたり書房』(講談社)
池波正太郎『鬼平犯科帳1~24』(文春文庫)
石川島からIHIへ 石川島資料館
開館日 毎週水曜日・土曜日(月・火・木・金・日曜、祝日は休館)
開館時間 10:00~12:00、13:00~17:00
所在地 中央区佃1-11-8ピアウエストスクエア1階
ミニコラム
明治時代から昭和にかけて、「月島の渡し」と呼ばれる渡し船も運航され、隅田川を渡る手段として利用されていました。
もともとは南飯田町(現在の築地七丁目18番)から月島(現在の月島三丁目24番)へ手漕ぎの船で人々を運んだのが始まりとされます。
その後、渡船場は南飯田町から明石町(現在の明石町14番)へ移されたとされ、臨海工業地帯だった町の重要な交通手段として多くの人々に利用されました。
隅田川は、かつて人や物資の往来を支える重要な水路であり、渡し船は人々の暮らしに欠かせない存在でした。
月島の渡しもその一つとして、地域の日常を支える役割を果たしていたといえます。
勝どき橋の架橋によってその役目は終えましたが、船が生活の一部であった時代の名残は、今もこの地域の歴史の中に息づいています。
「🖊取材・文・編集:NPO法人つきじ江戸文字と歴史伝承の会」
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